脳科学者の茂木健一郎さん @kenichiromogi がTwitterにて「成長するための性格要件」と題して、連続ツイートをされていました。
備忘録として引用させていただきます。
成長(1)人間の脳は一生成長し続けることができるけれども、そのためには、いくつかの条件がある。成長しやすい人と、しにくい人がいる。そして、成長のしやすさは、いくつかの性格要因としてまとめることができる。
成長(2)成長し続けるためには、何よりも、自分の内面と対話できなければならない。洋行エリートとして英国にいった時、漱石の自分との対話が始まった。西洋に追いつけ追い越せでは救われない自分を見いだし、真摯に向き合ったから、文学者として空前の成長を遂げた。
成長(3)当時、欧米に留学して、そのまま「洋行帰り」として日本でふんぞり返っている人たちはたくさんいただろう。それも一つの人生。ただ、成長は止まる。組織、肩書き、地位。社会の中には、成長をとめる自己欺瞞のわながたくさんある。
成長(4)他人のせいにしたり、批判ばかりしたり、自己の正当性を疑わない人も成長が止まる。ツイッター上に散見される。成長とは、つまりは今の自分への懐疑であり、現状の否定である。自分を棚上げにしている人は、残念ながらそこで成長が止まる。
成長(5)自分が何をわかっていないか、に気付かなければならない。やっかいなことに、人間の脳はある程度できあがればあとはその小世界でぐるぐる回していれば、日常は事足りる。その輪廻から逃れるためには、「当惑」が必要である。
成長(6)確かラッセルの証言だったと思うが、ある講義で、他のみながわかったような顔をしている中、ただ一人、ヴィトゲンシュタインだけが当惑したような表情を浮かべていたという。He looked puzzled。なんと美しい瞬間だろう。春の土筆のような、魂の苦味。
成長(7)人間の脳は文脈に適応しようとするが、そこに居付くと苔が生える。文脈自体を外部から「メタ認知」して、場合によってはよっこらしょと抜けでなければならない。たとえば、ペーパーテスト偏重という教育の文脈。これを打破することが、多くの人にとって成長課題となる。
成長(8)現代社会においては、人を結びつけること、関係性のハブになれる人が最大の付加価値をもたらす。孫正義さん然り、ジョブズ然り。個人技で点数いくら、偏差値いくつとやっていても、それはさびしい自己満足。大したことにはならないから、思いきり人に開いて成長した方がいい。
成長(9)あたまのいい、悪いを、知能指数のようにとらえる人が多いが、それはあくまでもごく一部。実際には、人に開かれるか、文脈をメタ認知できるか、自己欺瞞に陥らないか、自己と対話できるかといった性格要件で、成長へのポテンシャルが決まる。
以上、人間として成長するための性格要件についての連続ツイートでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿